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難病全ゲノムイニシアチブ
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ご挨拶Message

研究代表者國土 典宏
国立研究開発法人国立国際医療研究センター 理事長

ゲノム解析技術の急速な進歩を受けて、病気の原因をゲノム情報から明らかにするゲノム医学研究や、ゲノム情報に基づいて治療法や予防法を開発するゲノム医療への期待が高まっています。すでに、欧米諸国やいくつかのアジア諸国では、国が設けたゲノム解析拠点において数万人から数百万人規模の大規模な全ゲノム解析研究が実施されています。我が国においても、2019年に大規模全ゲノム解析計画が策定され、(1)がん、(2)難病、(3)コントロール群の3大プロジェクトが実施されており、これらが相互補完的な役割を果たすことによって、ゲノム医学研究・ゲノム医療が一段と進むことが期待されています。

本プロジェクトは、(2)難病のゲノム解析基盤を構築するもので、2020年11月にスタートしました。大規模な全ゲノム解析を実施することはもちろん、研究者コミュニティーが利活用しやすいゲノム解析基盤を確立することを目指しています。本プロジェクトには、難病医療、バイオバンク運営、ゲノム解析、データ基盤の構築、データ提供などの分野において我が国を代表する研究者が参集しています。難病医療の研究者がすでに収集・保有している未解析の患者ゲノム検体を集約し、大規模全ゲノム解析を実施します。得られたデータはプロジェクト内の研究者に報告されるだけでなく、新たに構築するゲノムデータベースに格納され、プロジェクト外の研究者にも活用されます。さらに、一部の残余試料はバイオバンクに保存され、利活用が図られます。

本プロジェクトにより、さまざまな専門性をもつ研究者が大規模ゲノムデータおよび貴重な試料を利活用することが可能になり、難病のゲノム医学研究の発展とともに、難病のゲノム医療および精密医療の推進をもたらします。さらに、ゲノム情報とメディカルインフォマティクスの融合により、新たな治療薬や治療法の開発に貢献します。また、本プロジェクトのゲノム解析チームは、すでに(3)コントロール群の一部の業務を担当していることから、全ゲノム解析計画のなかでの効率的な連携を実現することができます。

なお、本プロジェクトは、2023年3月までに先行解析を行うものですが、その後、本格解析に移行し、ゲノム解析基盤の安定的・長期的な運営につなげることを視野に入れて活動を行います。広く国民の皆様、研究者の皆様からのご指導・ご鞭撻をいただけますようお願い申し上げます。